その本の名は。(小椋由佳里)
こんにちは。
エイトビルシスターズの小椋由佳里です。
さてはて、
前回THE・子が投稿してくれたとおり、
日曜日はゆったりと過ごせて、
だいぶリフレッシュできたのですが…🥰
話題にのぼっていた、
私、小椋の読んでいた本。
その本の話でもして、
エイトのグルメブログ化を
阻止してみようかと思います。笑
はい、その作品とは。
菊池寛『恩讐(おんしゅう)の彼方に』。
菊池寛(きくちかん)は、
明治から昭和にかけて、活躍した作家。
東大で、芥川龍之介と同窓でした。
(めっさざっくりした説明…笑)
なぜこれを読み出したかというと、
これをもらったからなのです。
文豪はんこ。
顔は菊池寛。
名前にからめて「かん…ぺき…」。
京都の田丸印房というお店の
おみやげとしていただきました💕
小テストで満点だった生徒に
押してあげたいと思います。
さて、これをもらったものの、
そういや私、菊池寛の作品って
『真珠夫人』くらいしか知らん、
いっぺんちゃんと読まな国語教師失格や!
と、思って読み始めたのでした。
こんなんもあります。
田丸印房さん、ええ仕事してはる。
さて問題の『恩讐の彼方に』。
簡単にあらすじを言うと…
時は江戸。
主人の妻と通じた男、新九郎は、
激高して斬りかかってきた主人に
思わず手向かいし、
逆に主人を殺してしまう。
相手の女と逃げ、一時は追い剥ぎに
身を落とし、悪行を重ねたが、
後に罪を悔い、出家する。
僧として修行し、旅をするも、
それまで重ねてきた数々の罪を
償える気がしない。
そんな中、新九郎が出会ったのは、
多くの民が犠牲になっているという難所。
川の横にそびえ立つ断崖絶壁。
新九郎はひらめいた。
この難所。
この絶壁をほり貫いて、
道を作ろう。一生をかけて。
それがきっと贖罪となる…。
その日から、新九郎は、
石工の持つ槌とのみを手に、
黙々とトンネルを掘りつづけた…。
↓槌(つち)とのみ。
…てな感じの内容なのですが。
ネタバレがイヤなので、
後の展開は話しませんが、
私の心に残ったのは、
新九郎のひたむきさと、
それに対する周囲の人々の反応。
新九郎の、到底独りでは為し得ない挑戦に、
最初は、「気が狂った」と
あざ笑う村人たち。
しかし、何年もそれが続くと、
次第に新九郎を神聖化し、協力的になる。
しかし、効果がすぐに見えないとなると、
また飽きて、協力しなくなる…。
村人たちの行動は、この繰り返し。
人心は、実に移ろいやすく、頼りない。
しかし、新九郎は、
それに構わず一心不乱に槌を下す…。
……なんだか、この時勢だし、
小説の中の、
人の薄情さが特に気になったのです。
熱しやすく冷めやすい人の心。
バカにしたり、協力したり、
崇めたり、忘れたり。
そう、人は無責任なんです。
折しも、朝見たニュース。
患者の中にコロナ感染者がいたことが
わかり、一時休診した病院。
病院側は誠実に対応したはずだが、
周囲の人々は、面白半分に、
休診の貼り紙を撮りにきたり、
SNSでそれを上げたり、
またそれを見た人達が冷やかしで
見に来たりしているという。
どうしてなんだろう。
同じ危機に直面している同胞のはずなのに。
群衆は、あまりに冷たい。
そして、あふれる情報に左右され、
振り回され、簡単に手のひらを返す。
なんだか、
この危機的状況におびえるというより、
人の醜さが露呈しているという現状に、
より強い恐怖を感じるのです。
人間はかくも愚かなものなのか…。
でも、でもね、
この小説には、
それに対する答えがある気がするのです。
↑『恩讐の彼方に』で画像検索すると
こんなん出てきて笑った。
「なめこでわかる名作文学」だって。
やーまぁそういうのも、きっかけとしては
アリだが、やはり原文を読んでほしい。
🍄
はい、話戻します。
物語後半には、
もう一人重要な登場人物が現れます。
新九郎とこの人物との邂逅に、
この話の真髄があります。
ネタバレするんで、言いませんが。
ただ、菊池自身がこの作品について
話したことをかいつまんで言うと…
「大自然の前では、無力に等しい人間。
しかしまた、その人間のか弱い両腕で、
成し遂げられた大事業を前にしては、
人の恩讐(情けとうらみ)など、
ちっぽけなものである。」
と、いうことらしい。
うん…。
そうだよなぁ…。
無力であっても、
罪深くとも、
何よりも尊いのは、
強く信じ、
ひたむきに、誠実に、
突き進むこと。
それなんだ。
大切なのは、そこなんだ。
この不安な情勢の中、
自然の猛威の前に、
人間の無力を感じるとしても、
人心の愚かさが見えてくるとしても、
私は、あきらめずに、
私の信じることを
大切にしていきたいと思う。
大事なことを、見失いたくないと思う。
…なぁんて。
うふふ。
かっこつけてしもたわい。
いや、もうとりあえず、
読んでみてください!
ラストまで読んだ時の爽快感と
いったらもう…!
おすすめ!
田丸印房を推しまくる。笑
はい、というわけで、〆の写真は、
日曜のjambuka cafeで
食べたチーズ料理たち!
チーズフォンデュとタッカルビ!✌️
実は撮ってたので、載せときます!
おやおや結局グルメブログだぜ!
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